大阪アジアン映画祭のプレイベント【映画字幕翻訳講座2011】に行ってきました!
映画祭のプレイベントって土日ばっかりでどうせ行けないし~と思って
今年は全くチェックしていなかったんですが、
Twitterでフォロワーさんが誘ってくださったので、
逃さずに済みましたー :good; ジュジュさん、ありがとうございます :heart2;

http://www.oaff.jp/event/pre03/index.html

 

一昨年はフランス語、去年は英語だったそうですが、
今年は中国語!!たまたま仕事が休みの日に重なって、なんてラッキ~~ヾ(≧∇≦*)/

 

講師の鈴木真理子さんは、『エグザイル/絆』や『ラスト・コーション』『海角七号』など
数々の有名作品に携わって来られた凄~いお方です :wktk;
もう1人の講師である堀三郎さんは、日本の字幕投影システムの第一人者。
そして司会は2008年の『テレビで中国語』の講師を担当されていた
大阪大学教授の古川裕さんという、なんとも豪華な顔ぶれ☆

左から鈴木さん、堀さん、古川先生

 

会場である阪大の箕面キャンパスまでのアクセスが悪すぎて
ちょっとテンションが下がって :down; たりしましたが、
配られたレジュメに目を通してすぐにテンションあ~~~っぷ!! :up2;

 

本日の教材は、なんと!!!!ジョニー・トー監督の『単身男女』と、
台湾で空前の大ヒットを記録し、先日の東京国際映画祭でも上映された
『あの頃、君を追いかけた』(那些年, 我們一起追的女孩)
どちらも話題作でありながら日本未公開!すごいすごい!楽しみすぎる~!
ちなみにジュジュさんはどちらも映画祭で見ておられました。さすがっ!

 

上の写真でスクリーンに映っているのは、ちょっとアレな映画のワンシーンではありません。
「あの頃・・・」のワンシーン :heart2;
主人公の男の子とお父さんは家では素っ裸なんですって♪むふ :kyun;

 

では以下、Falのまとまらないまとめをどうぞ~~ :unko;

 

 

講座はまず、堀さんによる映画字幕業界の現状の紹介から。
昔ながらのタイプ方式(パチ打ち)の字幕制作現場のビデオを見てビックリ@@
今ならデジタル映像に字幕のレイヤー乗せたら終いですが、
職人さんが手書き→製版→印字という気の遠くなるような作業があったのですな…
むかしの人ってすごい。

 

他にも映画祭での字幕投影の苦労(1本のフィルムを各国で使いまわすので、字幕を印字するわけにいかない)や、
フィルム上映からデジタル上映に急激に変わりつつある現状とその背景について
むつかしい専門用語も多くてついていけない部分もありましたが、

 

「いろいろ大変やねんなぁ(´Д`) 」ってことはわかりました。(←

 

そしていよいよ鈴木さんの字幕講座へ★
まずは『単身男女』の冒頭シーンを使って、
中華圏の映画ならではの字幕翻訳の難しさを説明して下さいました。

 

『単身男女』の冒頭シーンでは、テレンス・イン演じる男性が
女性の1人とは広東語で話し、高圆圆演じるもう1人の女性とは普通話(北京語)で話します。

 

セリフの横に(広)・(北)と書かれたレジュメ。

 

このシーン、中国事情にある程度詳しく、中国語がある程度わかる人には、
広東語をしゃべってる女性は香港の地の人間で、
普通話をしゃべってる女性(ラジオの広東語講座を聞いている)は内地から出てきた人、
そして両方しゃべってる男性も、普通話の女性の元彼ぽいし、たぶん大陸出身の人なんだな、
と、登場人物の関係性がかなりつかめるシーンだと思います。

 

しかし、この言語の違いを日本語字幕で表現するのは不可能。
書籍なら「訳者注:」とつければいいのですが字幕ではそうはいきません。
なので、こういう時は[言語が違う]という情報をスッパリ諦めるんですって!
登場人物の出身地が違うことは、その後の展開でもしっかりわかるので、
敢えてこのシーンで説明する必要はないとの判断です。

 

うーむ、この諦めっぷりが男らしい!!!
Falならこの、すごい勢いで2つの言語が飛び交うオリジナルのニュアンスを
どうにか盛り込めないかグジグジ考えてしまいそう・・・。

 

 

続いて『あの頃、君を追いかけた』のワンシーンを使った、

 

【実践・字幕翻訳講座】!!!

 

です!!!
それまでに、1秒間に4文字までだとか、1行は何文字までだとか、
字幕の基本的なルールを説明していただいていたので、
それに則って受講者が実際に字幕翻訳に挑戦します。

 

こんな感じの台本を見て、まずは原語のセリフを直訳して、
そして実際に映像を見て、いよいよ日本語字幕を考える。

 

まず思ったのは、とりあえず「制限字数少なッッ!!!」ってこと。
直訳した文章をそのまま制限文字数内に収めるのはかなり難しい。
日本語は主語など省略できる部分が多いけれど、
それでも必要な情報を盛り込もうと思うとかなり悩む・・・
時間が15分しかなかったのでかなり無理やりな感じで枠を埋めました。
そして提出。出席者150人近くのかなりの方が提出されていたので、
鈴木さんもビックリΣ(゚Д゚ノ)ノ目を通すのにかなり苦労されていました~(;^ω^)

 

鈴木さんの答案チェックタイムのあいだには、
今年の大阪アジアン映画祭で上映された『一万年愛してる』を冒頭から放映。
この作品の字幕は、司会の古川先生を筆頭とする
有志のボランティアでつけられた字幕なんだそうですよ~。
ヴィック・チョウ主演ということで映画祭の時もかなり話題になりましたが、
Fal的にはヒロインが滋賀県出身(それも信楽)というところでかなり気になっていた映画。
冒頭シーンのミシガンに噴きましたwこの作品は日本でもそのうち見られそう♪

 

そしていよいよ鈴木さんの講評のお時間。
まずは、関西だけあって、字幕を関西弁で書いている人が多かったそうで(笑)
大阪出身の鈴木さんも、実際に無意識に関西弁の字幕をつけてしまって、
クライアント側から「これ関西弁ですよね?」と訂正された経験があるそう。
関西弁だと自覚なしに使っている言葉ってけっこうあるんだろうな~~。

 

と、次に鈴木さんが面白かったものとして挙げたのが、
「今天学校有打电话来(今日学校から電話があったぞ)」
「座れ 話がある」と訳した答案・・・

 

鈴木さん「なかなか大胆で面白いんですが・・・
字幕でここまでする勇気が私にはありません(笑)吹替ならいいと思いますよ。
この方は他にも『趁热吃 趁热吃(熱いうちに食べて)』を『あっちっち!』としていたり
なかなか大胆な訳をしてくれていますね・・・」

 

古川先生「ちなみになんという方でしょうか?」

 

鈴木さん「え~と、○○さん(Falの苗字)かな?」

 

 

(爆)

 

 

はい、黙っていましたがズバリ私の答案であります・・・ :ase; :atahuta;
まさか名前まで呼ばれるとは思わず、
ジュジュさんがこちらを向いたときには既に顔真っ赤wwww 😳

 

ちなみに名前まで出されて紹介されたのはFalだけでした 😳
でもなんとなく呼ばれる気はしてた :baku; 不思議な予感がしたのです。
狙ったわけじゃないですよ。狙ってたらもっとオモロイこと書いてるし :unko;
どうしてもうまく制限文字数に収まらなくって半ば苦し紛れに書いたのです。
実際にこんな字幕がついてたらきっと苦情がきてるだろうな~^^;

 

 

さて、講座の最後は質問タイムで〆。
外語学部の学生さんらしい真面目な質問もありましたが、
侯孝賢監督の講演のときにもお会いしたジュジュさんのお友達のGさんが、
中華圏の映画は人名の訳が難しいんじゃないですか、というとっても素敵な質問をされ♪
興味深い回答を聞くことができましたよ~。

 

中国人の名前はカタカナにすると区別がつき辛いものが多いんですよね。
チョウさん、チュウさん、チャンさんなど。
字幕は目で読むものなので、音は違っても見た目が似ているとごっちゃになってしまう。
そこで、姓で呼ぶ人と名で呼ぶ人を区別したり、
香港映画の場合はイングリッシュネームを使うなどで対応します。

難しいのは、字幕の依頼の前に既に宣伝が始まっていて人物名が露出してしまっている場合。
後から変えるわけにもいかず、苦労するそうです。
ちなみに「字幕つける前に宣伝で露出してしまってる」のは人名だけに限らず、
映画の内容もそう。それが実際の内容とズレていたりするとか・・・
聞いているだけで大変だ~~~@@

 

あとは大衆向けの娯楽作品とかだと、中学生くらいでも字幕版を見ることが考えられるので、
あまり難しい漢字を使うとだめだそうで。

 

さらには中国語って罵倒語の種類が豊富!!
それはもう下品な罵倒語が普通に飛び交っていることも珍しくない。
(あっちの作品で罵倒されてるというと郭靖しか浮かんでこなかった我)
でもそのまま訳しちゃうとやはり青少年的にマズくなったりするので、
頭を悩ませられることが多いのだそうですよ~~。
場合によっては「デブ」とか「チビ」とかもだめだそうで・・・
いろいろ、ややこしい人がいるんでしょうね。

 

他に中国語翻訳者ならではの悩みとして面白かったのは、
文化的な背景がわかっていないと理解しづらい台詞。
たとえば「緑の帽子をあげるよ」というセリフ。
「緑の帽子」というのは「寝取られ男」を暗示するアイテムで、
中国人的には笑うトコなんですが、
もちろんそのまま直訳しても伝わらないので悩むところなんですね。
(他にも「白」は葬式、「黄」はエロ、など・・・)

 

講演の最後には、大阪アジアン映画祭の字幕翻訳ボランティア募集が。
私の中文力で、しかも仕事しながらそんなことするのはたぶんムリだろうなとは思いつつ、
いちおう話だけ聞きたいなぁと思ってメアド書いてきました(照)

 

例によってまとまりのないなっがいレポになってしまいましたが、
中国語学習者的にはもちろん非常に有意義な講座でしたし、
華流エンタメファン的にも生唾モノの講座だったと思いますー(*´艸`*)
「なんでこんなに遠回りして行かなきゃいけないんだよ。」
とかぶつぶつ言いながら来た甲斐ありありでしたよ!!!

 

そして教材で使った3つの映画。
ちょっとずつしか見られませんでしたが、全部面白そう~!!!
『一万年愛してる』以外は日本公開未定のご様子。
『単身男女』はトーさんのラブストーリーとしてはかなり当たりだったようだし、
『あの頃、君を追いかけた』は先の映画祭での評判がすこぶる良かったし、
どちらもスクリーンで見たいどす・・・
誰か買って買って買って~~~(じたばた)

 

最後に、素晴らしい講座を提供して下さった鈴木さん、堀さん、古川先生、
大阪アジアン映画祭事務局のなんとかさん、(なまえおぼえてなくてごめんなさい・・・)
そして誘って頂いたジュジュさん♪ありがとうございました~ :love; :love; :chu;